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K2013出展 ワッカーケミ―社のシリコーンエラストマー新製品のご紹介

2013年10月16~23日にドイツ・デュッセルドルフで開催された第19回ゴム・プラスチック国際見本市(K 2013)は、120カ国を超える国々から約218,000人の来場者が訪れ、大盛況のうちに終了致しました。ドイツワッカーケミ―社も最新技術ならびに新製品を出展し、多くのお客様にご来場頂きました。今回はその中から、シリコーンエラストマー関連の新製品についてご紹介致します。

 

製品紹介

1. 防振用ミラブルシリコーンゴム ELASTOSIL® R 752/30、70

防振用材料として最適なELASTOSIL® R 752シリーズに、今回、新たに30度と70度の2種類の硬さの製品をラインナップ致しました。ELASTOSIL® R 752シリーズは、従来のシリコーンゴムに比べ、ゴム弾性を抑制した配合設計となっており、強い衝撃に対して優れた防振効果を発揮します。また、従来のシリコーンゴムと同様、優れた耐熱・耐寒性、耐候性を備えており、自動車用振動ダンパー(ショックアブソーバー)材料として最適な材料です。
本製品を使用した防振ダンパー(ショックアブソーバー)は、振動を一定以下の振動周波数に低減することができます。本製品は過酸化物硬化システムを採用しており、既存の圧縮成形や射出成形が可能です。図1はELASTOSIL® R 752を使用した振動ダンパー(ショックアブソーバー)を内蔵したドライブシャフトの概略図です(中央部分が防振ダンパー材)。ドライブシャフトの曲げ振動を低減し、快適な乗り心地を可能にします。

 

図1  防振用シリコーンゴム振動ダンパーを内臓したドライブシャフトの概略図

 

 

 

2. 高耐熱ミラブルシリコーンゴム ELASTOSIL® R 756/50、70

ELASTOSIL® R 756は過酸化物硬化タイプの高耐熱ミラブルシリコーンゴムで、耐熱向上添加剤の併用により300℃までの使用が可能となり、特に高耐熱特性が要求される自洗式オーブン、自動車のエンジンや排ガス装置のシール材などに最適な材料です。
本製品は、圧縮成形、射出成形、押出成形のいずれの成型にも適用可能です。更に圧縮永久歪み特性にも優れ、良好なシール特性を得ることができます。今回は、60度と70度の2種類の硬さの製品をラインナップ致しました。

 

写真1 高耐熱ゴムシリコーンゴムの応用例
自洗式オーブンシール材

 

 

 

3.磁性ミラブルシリコーンゴム ELASTOSIL® R 781/80

ELASTOSIL® R 781/80は磁性粒子を配合しており、冷蔵庫などの家庭用電化製品やベーキングモールドなど食品容器、更には医療用途に最適な材料です。
配合されている磁性体は強磁性のフェリ磁性体であり、磁場や電場中でも永久磁性特性を有します。また、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)の XV,Silicones,IX.Colorantsとアメリカ食品医薬局(FDA)の基準に適合しているため、食品容器用途への適用が可能です。
ELASTOSIL® R 781/80は単独、あるいは標準シリコーンゴムと配合し、使用することができます。例えば、標準シリコーンゴムにELASTOSIL® R 781/80を数%配合した材料は、金属選別が可能となり、搬送ベルトなどに使用した場合、金属異物の検出が可能です。
本製品は熱伝導特性にも優れ、硬化ゴムの温度を短時間で上昇させることができます。この特性を利用し、ベーキングモールドに使用した場合、ケーキやパンなどを短時間で焼きあげることができます。本製品は圧縮成形、押出成形のいずれの成型方法にも適用可能です。

 

写真2  磁性シリコーンゴムの磁性特性

 

 

 

4.耐クラーント液状シリコーンゴム ELASTOSIL® LR 3022/60

ELASTOSIL® LR 3022/60は付加硬化型の液状シリコーンゴムで射出成型用に設計された製品です。クーラント液に長期間接触した状態においても、優れた圧縮永久ひずみ特性、およびシール性を維持し、エンジン冷却系の成形シール材に最適な材料です。 本製品は圧縮永久ひずみ特性の耐久性に優れており、高い気密性を持続することが可能です。125℃のクーラント液中に1000時間浸漬後も50%以下の圧縮永久ひずみを保持することができます。更に本製品は-45℃の極低温においても、柔軟性を示し、耐寒性と耐クーラント性を兼ね備えているため、特に自動車用途に最適な材料です。また、射出自動成型により、成形部品の低コスト化に貢献できます。

 

図2 耐クーラント液状シリコーンゴムの
ラジエタータンクシール材への応用図

 

 

 

5. 光学部品用高透明シリコーンゴム LUMISIL® LR 7600/50,60,70,80

LUMISIL® LR 7600は、透明性に優れた材料であり、200℃での長期耐熱特性にも優れています。また、本製品は ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂に比べ耐候性に優れ、人工光、自然光、紫外線の長期間曝露においても黄変せず、透明性を維持できます。更に優れた成形加工性により、例えばLEDチップ上に直接レンズ状の硬化物を成形できるなど、新しいデザインや筐体構造の設計が可能であり、一般照明用途や自動車用ヘッドライトなど、エネルギー効率とコストパフォーマンスに優れた製品開発を可能にします。
LUMISIL® LR 7600は、耐熱性に優れているため、キセノンランプと高性能LEDとを組み合わせた光学部品の設計が可能です。4種類の硬さの製品(50、60、70、80度)をラインナップし、いずれの製品も射出成形が可能で、量生産に優れ、コスト削減に貢献できる材料です。また、精巧で大きな形状の成形加工においても優れたコストパフォーマンスを発揮します。

 

写真3  高透明シリコーンゴムの応用例
自動車用ヘッドライト

図3 高透明シリコーンゴムの応用例
LED電球

 

 

 

 

6.型取り用縮合硬化型シリコーンゴム用スズフリー触媒 ELASTOSIL® CATALYST NEO

ELASTOSIL® CATALYST NEOは、型取り用コンパウンドELASTOSIL® M シリーズ専用の硬化剤です。本製品は、スズ系触媒を使用せず、従来のスズ系触媒と同様にシリコーンゴムが硬化し、同等の機械的物性を得ることができます。
架橋剤と触媒の配合量が最適化され、充分な作業可能時間を有し、24時間以内に硬化できるように製品設計されているため、大きな対象物の型取りに最適です。また、室温縮合硬化型であり、空気中の湿気により硬化反応が進行するため、特別な装置を必要としません。
本製品は技巧品や工芸品、文化遺物などの複製品作成用母型に最適であり、電子部品の封止材にも適応可能です。

 

写真4  ELASTOSIL® CATALYST NEOの外観

 

 

 

7. 送・配電碍子用無溶剤シリコーンコーティング材 POWERSIL® 570 PLUS

ガラス・磁器碍子は屋外電線の絶縁に使用されています。しかし、このような碍子は沿岸地区や工業地帯のような大気汚損レベルの高い地域では、碍子表面の汚損が急速に進み、安全性に重大な影響を与えます。碍子表面に付着した埃、チリ、塩分などの堆積物は、特に水分の存在下において、碍子の絶縁性能に影響を及ぼします。その結果、放電現象や最悪の場合、フラッシュオーバーに至る可能性があります。このようなリスクを避けるため、手間とコストが掛りますが、汚損した碍子表面を定期的に洗浄しなければなりません。
こうした問題を解決するため、ワッカーケミ―社は、ガラス・磁器碍子用のシリコーンコーティング材料の研究を長年に渡り行ってきました。シリコーンコーティング材は電気絶縁性能のみならず、優れた長期撥水性を兼ね備えています。この長期撥水性の効果より、水膜の形成、漏れ電流の増加、ドライバンドアーク現象やフラッシュオーバーのリスクを軽減し、碍子の信頼性を格段に向上させることができます。
POWERSIL® 570 PLUSは、水系エマルジョン技術を応用した初めての碍子用シリコーンコーティング材料で、無溶剤、スズフリーでそのままの状態ですぐ使用可能な製品です。粘度特性は、せん断速度依存性が高く、優れたスプレー作業性を可能にします。一回の塗布で、所望のコート膜を形成し、セラミックやガラスに対して、プライマーレスで優れた接着性や撥水性を発現します。本製品でコーティングした碍子は、IEC 62217準拠の1000時間煙霧試験をパスしています。

 

写真5 POWERSIL® 570 PLUSのスプレーコート作業の様子
 
碍子表面の撥水性シリコーンコーティング層を形成させ、
碍子の信頼性を格段に向上させることができます。

 

 

 

おわりに

今回ご紹介した新製品は、日本市場でのお客様のご要望にも十分にご満足頂ける材料であると確信致します。今後、高い信頼性と環境面に優れたシリコーン材料への期待はますます高くなることが予想されます。ドイツワッカーケミ―社、ならびに当社といたしましてもお客様のご要望にお応え出来る新製品の開発を引き続き行って参ります。

 

 

 

各製品の詳細情報につきましては、「製品に関するお問い合わせ」より必要事項をご入力いただき、お問い合わせください。

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