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オプティカルボンディング用OCRシリコーンゲル材料

 

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はじめに

 オプティカルボンディング用OCR(Optical Clear Resin)ゲルは、スマートフォンやタブレット端末等の静電容量式タッチパネルやディスプレイの視認性向上の素材として、近年急速に需要が拡大しているゲル材料である。

 従来のタッチパネルやディスプレイはカバーガラスとLCDモジュールの間に空気層があることで光の乱反射が生じ、視認性が低下するが、OCR材料を使用することで視認性を大きく向上することが可能となる。

 本稿ではシリコーン系OCRによるディスプレイの視認性向上のメカニズム、加工工程、およびワッカー社の製品ラインナップについて紹介する。


1.OCRによるディスプレイの視認性向上のメカニズム

 従来のLCDモジュールでは、図1.左図の様にカバーガラスとLCDモジュール(屈折率:約1.4~1.5)の間に屈折率が異なる空気層(屈折率:約1.0)が存在する為、光の乱反射によりディスプレイの視認性が低下する。一方、図1.右図の様に空気層にOCRシリコーンゲル(屈折率:約1.4)を充填した場合、各材料間の屈折率差が少なくなり、光の乱反射を抑制させ、ディスプレイの視認性を向上することができる。

 

   

【オプティカルボンディング用

 OCRゲル材の用途例】 

 

-タッチスクリーンパネル

-大型スクリーンパネル

-公共の表示ディスプレイ

-ナビゲーション装置

-光学用ダンピング材

 

 

図1 . OCRが視認性を向上するメカニズム

左側:OCR不使用               右側:OCR使用

※()内数値は屈折率を示す

 

 

2.オプティカルボンディング用シリコーンOCRの加工工程

 OCRの加工工程は、図2の様にLCDモジュール上にOCR材料をディスペンシングし、予備硬化を行い、カバーガラスとの貼り合わせ(ラミネート)を行う。この貼り合わせの際に、気泡が混入してしまうと視認性が著しく低下する。また、気泡を除去するため、過剰にOCR材料をディスペンシングした場合、貼り合わせの際に余剰のOCR材料がモジュールから漏れ出し、除去のために生産効率が低下し、材料ロスも多くなる。均一かつムラなく貼り合わせを行うためには、ディスペンシングのデザインとともに、OCR材料の粘度の設定も重要である。

ワッカー社のシリコーン系OCR用LUMISIL® シリーズは、低、中、高粘度の豊富な粘度バリエーションに加え、硬化方式も加熱硬化型と紫外線硬化型の2種類をラインナップしており、様々な加工工程に対応可能である。

 

図2.オプティカルボンディング用シリコーンOCRの加工工程

 

 

3.アクリル系OCRとの比較

 従来、OCR用材料にはアクリル系OCRが用いられてきた。アクリル系OCRの主骨格であるC-C結合(349 kJ/mol)と比較して、シリコーン系OCRの主骨格であるSi-O結合(423 kJ/mol)は結合エネルギーが高いため、熱や紫外線に対する耐久性が高い。また、硬化の際に副生成物が発生しないため、収縮率が極めて小さい。そのため光学特性の耐熱、耐候性、及び寸法安定性が求められる車載用タッチパネルや大型ディスプレイなどの用途に最適である。

 

 
図3.  アクリル系OCRとの比較

 

4.OCR用LUMISIL® シリーズの特徴

 - 豊富な粘度バリエーションにより、様々な加工プロセスに対応可能。
 - 高透明性に優れる。
 - 低収縮率のため、大型ディスプレイに適する。
 - 耐熱性に優れるため、車載用タッチパネルに適する。
 - 低温 (70 ℃以下)でのスピーディな硬化が可能。(加熱硬化型グレード:LUMISIL® 1xxシリーズ)
 - 酸素による硬化阻害がない。(紫外線硬化型グレード:LUMISIL® 2xx UVシリーズ)

 

 

5.おわりに

ワッカー社のOCR用LUMISIL® シリーズは、幅広い製品群と効率的な生産性、および卓越した光学特性、品質安定性により、今後、屋外向けディスプレイや大型ディスプレイ、車載用タッチパネルなど、様々な用途展開が期待される製品であると確信する。

 

 

表1. OCR用LUMISIL® グレード(加熱硬化型)の物性表

 

       硬化前物性

 品番

 

単位

LUMISIL®

100

LUMISIL®

102

LUMISIL®

102FC

LUMISIL®

105
 特徴 -

低粘度

中粘度

中粘度

速硬化

高粘度

 外観 - 無色透明 無色透明 無色透明 無色透明
 粘度 A材 mPa・s

530 2,000 2,000 5,000
B材 420 1,900 2,300 4,500

(上記値は代表値であり、出荷規格ではありません。)

 

       硬化特性

 品番 単位

LUMISIL®

100

LUMISIL®

102

LUMISIL®

102FC

LUMISIL®

105
 混合比 A:B 1:1
 ポットライフ (23℃) h 3 3 0.4 3
 混合後粘度 mPa・s 480 1,900 2,200 4,800
 ゲル化時間 (65℃) min 13 11 4 10
 硬化時間 T90 (65℃) min 60 46 10 38

(上記値は代表値であり、出荷規格ではありません。)

 

       硬化後物性

 品番 単位

LUMISIL®

100

LUMISIL®

102

LUMISIL®

102FC

LUMISIL®

105
 針入度 1/10mm 50 50 50 50
 接着力 ガラス/ガラス Kgf/cm2 2.5 3.5 3.5 3.5
 透過率1)  Minolta CM-5 % >90 >90 >90 >90
 屈折率(23℃/ABBE) - 1.41 1.41 1.41 1.41
 ヘイズ1) % <0.2 <0.2 <0.2 <0.2
 黄変度1) - <0.2 <0.2 <0.2 <0.2

1)シリコーン厚さ:300μm、両面LCDベアガラス(Corning Eagle XG / 厚さ0.7mm)

(上記値は代表値であり、出荷規格ではありません。)

 

 

 

図4. LUMISIL® 102FC の耐久性試験結果

 

 

表2. OCR用LUMISIL® グレード(紫外線硬化型)の物性表

 

      硬化前物性

 品番 単位

LUMISIL®

202UV

LUMISIL®

203UV

LUMISIL®

205UV

LUMISIL®

245UV

 特徴  -

低粘度

低硬度

低粘度 中粘度

高粘度

スクリーン印刷用

 外観   - 無色透明 無色透明 無色透明 無色透明
 粘度 A材 mPa・s

2,100 3,800 7,500 65,000
B材 1,000 1,000 1,000 1,000

(上記値は代表値であり、出荷規格ではありません。)

 

      硬化特性

 品番 単位

LUMISILR

202UV

LUMISIL®

203UV

LUMISIL®

205UV

LUMISIL®

245UV

 混合比 主材:硬化剤1) 10:1
 ポットライフ (23℃)  h >24
 混合後粘度 mPa・s 2,000 3,500 5,500 45,000

1)硬化剤はELASTOSIL® CAT UVを使用。

(上記値は代表値であり、出荷規格ではありません。)

 

      硬化後物性

 品番 単位

LUMISIL®

202UV

LUMISIL®

203UV

LUMISIL®

205UV

LUMISIL®

245UV

 硬さ (shoreOO) - 10 37 48 45
 体積収縮率 % <0.1 <0.1 <0.1 <0.1
 接着力 ガラス/ガラス Kgf/cm2 3.5 4.0 4.5 5.0
 透過率1) Minolta CM-5 % >92 >92 >92 >92
 屈折率(23℃/ABBE) - 1.41 1.41 1.41 1.41
 ヘイズ1) 0 h % 0.03 0.03 0.01 0.02
85℃/85% RH/1000h % <0.2 <0.2 <0.2 <0.2
 黄変度1)  0 h - 0.14 0.14 0.14 0.14
 85℃/85% RH/1000h - <0.7 <0.6 <0.4 <0.4

1)シリコーン厚さ:300μm、両面LCDベアガラス(Corning Eagle XG / 厚さ0.7mm)

(上記値は代表値であり、出荷規格ではありません。)

 

 

各製品の詳細情報につきましては、お問い合わせページよりお問い合わせください。

 

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