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高耐久性コンクリート保護材 SILRES® BS 1803

SILRES® BS 1803: Sustainable Concrete Protection

 

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はじめに

 セメントを含むモルタルやコンクリート製品などは、雨水などの水分が侵入することで、セメントの成分である水酸化カルシウム Ca(OH)2が、侵入した水に溶けて表面に移動し、空気中の二酸化炭素と反応し、水に溶けにくい炭酸カルシウム CaCO3になります。この炭酸カルシウムがモルタルやコンクリート製品の表面に析出し、白く汚れる現象を白華現象と言います。

白華は製品の表面で集中的に蒸発が起こる場合に発生します。気温が高い環境では内部でも蒸発が起こるため白華は起こりにくく、冬季などの気温が低くい時期や梅雨などの湿度が高い時期など、表面でしか蒸発が起こらない環境の時に起こりやすいと言われています。

したがって、内部の水が表面に移動することを妨げる添加剤を用いることで、表面への白華成分の移動を抑制することができます。 

また、水分の侵入はコンクリート内部の鉄筋の腐食を招く場合があります。腐食によって鉄筋が膨張することでコンクリートの組織構造が破壊され、建造物の寿命を縮める原因になります。

これらの悪影響を及ぼす水の吸収や内部での移動を抑制することで、モルタルやコンクリート製品の外観を維持したり、鉄筋の腐食による劣化を抑制したりすることができます。

 

 

1.吸水防止材 SILRES® BS 1803

 SILRES® BS 1803はモルタルやコンクリートの混練時に少量添加することで製品内部を疎水化し、表面への水の移動を抑制することで白華の発生を抑えたり、水の侵入による鉄筋の腐食を低減したりすることができます。

 

 

2.SILRES® BS 1803の概要と特長

シラン・シロキサン系無溶剤エマルジョン
 一般特性  植物性
 外観  乳白色
 有効成分  約 60 %
 密度(20℃)  0.94 g/cm3
 粘度(25℃)  約 2250 mPa・s

 

 特長
 - 顕著な吸水防止性
 - 優れた表面撥水性
 - 融雪剤(塩)からの保護
 - 優れた白華防止性
 - 水蒸気透過性

 

 

3.SILRES® BS 1803の評価

(1)モルタル試験体の作成
 表1に示す配合でモルタル試験体を作成しました。

表1. モルタル試験体の配合
配合量 (g) 未処理 SILRES® BS 1803
(セメントに対し0.2 % 添加)
SILRES® BS 1803
(セメントに対し0.4 % 添加)
標準砂 2700 2700 2700
普通ポルトランドセメント 900 900 900
SILRES® BS 1803 - 3.0 6.0
水道水 425 423.2 421.4

 

(2)モルタル試験体の作成
 作成したモルタル試験体を用いて吸水防止の効果について検証したところ、SILRES® BS 1803を添加した試験体においては、吸水率の大幅な低下が見られました。

 

試験方法
 - 浸漬前に各試験体の重量を測定する。
 - 試験体を浴槽の底にならべ、上面から5cmの深さになるように水を張る。
 - 24時間後の各試験体(未添加品も含む)の重量を測定する。
 - 吸水前後の重量比を計算し、吸水率を求める (図1)。
 - 未添加品に対する吸水比を計算し、吸水抑制率を求める(図2)。

 

吸水率の比較
図1. 吸水率の比較 (室温で28日養生後、24時間の水中浸漬)

 

 

未処理品に対する吸水抑制率
図2. 未処理品に対する吸水抑制率 (室温で28日養生後、24時間の水中浸漬)

 

 

 

(3)モルタル物性に対する影響
 SILRES® BS 1803を添加した場合のモルタルの物性への影響を確認するため、スランプ、空隙率、密度、引張り強さ、圧縮強度の5点で未添加品と比較したデータを以下に示します。

 

試作モルタルのスランプ
図3. 試作モルタルのスランプ (テスト方法: DIN EN 12350-5)

 

 

試作モルタルの空隙率
図4. 試作モルタルの空隙率 (テスト方法: DIN EN 12350-7)

 

 

試作モルタルの密度
図5. 試作モルタルの密度 (混練直後)

 

 

試験体の曲げ引張り強さ
図6. 試験体の曲げ引張り強さ (室温で28日養生後)

 

 

試験体の圧縮強度
図7. 試験体の圧縮強度 (室温で28日養生後、テスト方法: DIN EN 12390-3)

 

 

(4)表面撥水効果
 写真1のとおりSILRES® BS 1803を0.2 %以上 添加することで、コンクリート表面に撥水性(水玉効果)を得ることができます。

 

SILRES® BS 1803添加による撥水効果 
写真1.  SILRES® BS 1803添加による撥水効果
(左)未処理、(中央)0.2 %添加、(右)0.4 %添加

 

 

 

4.SILRES® BS 1803の含浸剤としての使用

 SILRES® BS 1803は内添タイプの吸水防止剤として優れた効果を発揮しますが、水で5~10倍に希釈して含浸タイプの吸水防止剤として使用することもできます。28日間養生したコンクリートに含浸後、14日間室温保管後に含浸深さ、吸水抑制率を計測しました。すると、写真2のように、基材に対し優れた浸透性を示しました。コンクリートキューブ(C 0.45)に400 g/m2のSILRES® BS 1803(20 %水溶液)を含浸したところ、浸透深さ2-7mmの撥水層(周辺の白色部)が形成され、未処理のキューブに比較して吸水量が90 %削減されました。

 

含浸による撥水効果
写真2. 含浸による撥水効果

 

 

5.SILRES® BS 1803の利点のまとめ

 

 - SILRES® BS 1803 は有機溶剤を含まない、水希釈タイプの製品です。
 - SILRES® BS 1803 は少ない添加量で優れた吸水防止性を示します。
 - SILRES® BS 1803 は顕著な表面撥水性を示します。
 - SILRES® BS 1803 は出来上がったセメント製品の曲げ引張り強度、圧縮強度などの物理特性に大きな影響を及ぼすことなく、性能を発揮することができます。
 - SILRES® BS 1803 は内添吸水防止剤としてだけではなく、希釈して含浸剤として使用することもできます。
 - SILRES® BS 1803 は含浸剤として優れた浸透性と吸水防止性を発揮します。

 

 

6.SILRES® BS 1803の用途

 SILRES® BS 1803 は目地モルタルやコンクリートブロックなどの白華防止、無機建材外壁(コンクリート打ちっぱなし、サイディングボード等)の吸水防止(汚れ、カビ等の付着防止)、スレート瓦の吸水によるそり防止などの用途で広く使用されております。また、今後は住宅の基礎部分などの建築構造物に使用されるコンクリートに添加することで内部の鉄筋を錆から守る目的での使用が期待されます。建築構造物の耐久性の向上は、限られた資源の有効活用という点からも効果的であるため、さらに普及に取り組む意向です。

 

各製品の詳細情報につきましては、お問い合わせページよりお問い合わせください。

 

 

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