電子部品の小型化、高性能化、高出力化に伴い、放出される熱エネルギーも増大し、電子部品の温度も上昇する傾向にあります。これに対して、放熱効率を如何にして向上させ電子部品の信頼性を確保するかという課題を克服する必要があります。電子部品が発熱しながらもその機能を維持するためには、放熱部材へ速やかに熱を逃がすよう設計する必要があります。そこで、その課題への解決策として放熱を目的とした高熱伝導性の製品群を開発しました。
現在、放熱シリコーン製品に求められる放熱特性はますます重要となってきています。加えて私たちはこの分野で模範となる品質管理システムを確立し、世界中の全てのロットが厳しい試験と管理の下に製造されています。こうしてWacker Chemie AGの製品は納入を重ねていく毎に自動車と電子部品のトップ企業の信頼を得ていきました。
分類 | 形態 | 硬さ | 機能 | 長所 | 短所 |
放熱グリース | ペースト状 | ― | 被着体間の空間を満たしますが、硬化しません。 |
密着性に優れる |
ポンプアウト、ブリードアウトが起こりやすい |
放熱ギャップフィラー | ペースト状→硬化 | 低 | 被着体間の空間を満たし、硬化します。硬化後も柔軟で熱応力を低減します。 |
密着性に優れる |
2液混合設備が必要 |
放熱接着剤 | ペースト状→硬化 | 高 | 被着体を接着、固定します。 |
被着体との接着、固定が可能 取り扱いが容易(1液) |
硬化時間が長い リワークが困難 |
放熱封止材 | 液状→硬化 | 中~高 | 電子部品を包み込んだ状態 で硬化し(封止) 湿気や埃から保護します。 |
加工が容易(注入・封止) 被着体との良好な密着性 |
2液混合設備が必要 リワークが困難 |
・シリコーンは耐熱老化性に優れるため、150 ℃以上の高温においても長期間安定した性能を発揮する放熱材料の実現が可能です。 ・シリコーンの粘度を選択することで、用途に応じた流動性を有する製品の設計が可能です。 ・シリコーンは、室温において、もしくは、加熱により硬化させることができ、硬化後の硬さも調整可能です。 ・高温環境下で使用されることの多いシリコーンですが、その化学構造から、燃えにくい上に、燃焼時の有毒ガスの発生もないため、万が一の発火などの事態においても安心です。 |
図1. ジメチルシリコーンの化学構造 |
項目 | 単位 | WACKER Silicone Paste P12 |
タイプ | ― | 1液 |
外観 | ― | 白色ペースト状 |
密度 | g/cm3 | 2.1 |
熱伝導率 ASTM D 5470 | W/mK | 0.8 |
絶縁破壊強さ | kV/mm | 20 |
用途 ・EH/HEVバッテリーの放熱 ・自動車ECUの放熱 ・各種電子基板の放熱 |
図2. 放熱シートと放熱ギャップフィラーの比較 ギャップフィラーは、硬さが低く、柔軟性に富むため、ヒートシンクとIC基板の隙間を埋め、高い放熱効果を得ることができます。 |
項目 | 単位 | SEMICOSIL® 961 TC |
SEMICOSIL® 962 TC |
SEMICOSIL® 9671 TC1 |
タイプ | 2液 付加硬化 (混合比1:1) |
2液 |
2液 |
|
外観 A材/ B材 | ― | 白 / 黄 | 赤 / 白 | 緑 / 白 |
粘度 A材 / B材(10s-1) | Pa・s | 130 / 130 | 110 / 150 | 120 / 100 |
密度 A材 / B材 | g/cm3 | 2.9 / 2.9 | 3.1 / 3.1 | 2.0 / 2.0 |
ポットライフ 23°C | 分 | 60 | 60 | 90 |
硬化時間 23°C 100℃* |
時間 分 |
6 5 |
6 5 |
>6 15 |
硬さ Shore OO | ― | 55 |
50 |
70 |
熱伝導率 ASTM D 5470 | W/mK | 2.3 |
3.0 |
2.5 |
充填材最大粒子径 | μm | 90 | 90 | 80 |
絶縁破壊強さ | kV/mm | 8 | 7 | 10 |
難燃性(UL準拠社内試験) | ― | UL94-V0 | UL94-V0 | UL94-V0 |
体積抵抗率 | Ω・cm | > 1013 | > 1013 | 1.1x1014 |
低分子環状シロキサン (D4からD8の合計値) |
ppm | < 350 | < 350 | < 350 |
特長 | ・汎用 | ・高熱伝導率 ・柔軟性 ・オイルブリードなし |
・低密度 ・柔軟性 ・オイルブリードなし |
項目 | 単位 | ELASTOSIL® TC 9800 CN |
タイプ | ― |
1液縮合硬化 |
外観 | ― | 白色 |
密度 | g/cm3 | 1.6 |
粘度(0.5 s-1) | Pa・s | 500 |
硬さ Shore A | ― | 73 |
引張強さ | MPa (N/mm2) |
2.8 |
伸び | % | 85 |
絶縁破壊強さ | kV/mm |
23 |
熱伝導率 | W/mK | 0.85 |
硬化条件 | ― | 12 時間/mm (23℃ 50%RH) |
特長 | ・室温硬化 ・中性(脱アルコール型) ・難燃性 (UL-94 V1相当) |
写真1. 自動ディスペンサーによる放熱接着剤の塗布 |
特長 ・高い耐熱性(~180℃) ・優れた電気絶縁性 ・熱応力の緩和 |
用途 ・自動車ECUの封止 ・各種パワーモジュールの封止 |
項目 | 単位 | SEMICOSIL® RT 743 LV-K |
ELASTOSIL® RT 733 TC |
ELASTOSIL® RT 739 TC |
タイプ | ― |
2液 |
2液 |
2液 |
外観 | ― | 灰色 | 灰色 | 灰色 |
粘度* | mPa・s | 1,100 (10 s-1) | 16,000 (1 s-1) 14,000 (10 s-1) |
11,000 (1 s-1) 7,000 (10 s-1) |
密度** | g/cm3 | 1.5 | 2.9 | 2.7 |
硬さ SHORE A | ― | 20 | 45 (Shore 00) |
40 |
引張強さ | MPa (N/mm2) |
3 | 0.06 | 0.6 |
伸び | % |
150 |
30 | 50 |
熱膨張係数 | 10-4 K-1 |
1.8 |
0.7 |
1.7 |
熱伝導率 ASTM D 5470 | W/mK | 0.5 | 3.0 | 2.0 |
せん断接着強さ | kN/m | ― | 極めて低い | 0.6 |
絶縁破壊強さ | kV/mm | 23 | 14 | 15 |
体積抵抗率 | Ω・cm | > 1014 | > 1012 | > 1013 |
硬化条件 | ― | 120℃ x 60分 | 100℃ x 120分 120℃ x 60分 150℃ x 30分 |
100℃ x 120分 120℃ x 60分 150℃ x 30分 |
特長 | ― | ・流動性 ・柔軟性 ・揮発分低減 |
・流動性 ・接着性 ・高熱伝導率 |
・流動性 ・接着性 ・高熱伝導率 |
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