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射出成型プラスチック製品の代替も可能 超高剛性シリコーンゴム
シリコーンゴム 製品情報

はじめに


 液状シリコーンゴムは、シリコーンゴム成形品を自動で大量に生産するために開発された材料です。Wacker Chemie AGでは、この技術の適用範囲を広げるため、寸法安定性を求められる用途において熱可塑性樹脂に近い剛直さを持つ液状シリコーンゴム製品として、硬さがゴムと熱可塑性樹脂の間のShore Dの領域に該当する製品の開発に着手し、ELASTOSIL® LR 3003/90を上市しました。硬化後はShore Aで90の硬さを持ちながら、射出成型工程による生産により、シリコーン部品を経済的に成形することができます。


特徴
 ELASTOSIL® LR 3003/90は、従来のシリコーンゴムと比べ以下の特性を有しています。
・格段に高いモジュラス特性(変形しにくい)
・低摩擦性

格段に高いモジュラス
 図1にELASTOSIL® LR 3003シリーズの歪み-応力曲線を示します。この図をより、ELASTOSIL® LR 3003/90は、歪み(変形)が小さい領域から応力が急激に上昇し、ほぼ直線となっています。硬さ80の製品と比較してもその特異な挙動が見て取れます。このことはELASTOSIL® LR 3003/90の硬化ゴムはモジュラスが非常に高く、硬いバネのような振る舞いを示すということを示しています。 高モジュラス性を有するため、ELASTOSIL® LR 3003/90で成型したパーツは変形しにくくなり、従来のシリコーンゴムよりも熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂に近い挙動を有しています。


     
写真1
LR 3003/90(黄色)とLR 3003/40(緑)の
変形性の比較
    
写真2 
LR 3003/90の引張・引裂試験の様子



 lr3003z3.jpg
図1. ELASTOSIL® LR 3003シリーズの歪-応力曲線


低摩擦性
 ELASTOSIL® LR 3003/90は他のELASTOSIL® LR 3003シリーズよりも滑りやすい性質を持っており、硬さ80の製品と比較して摩擦力が65%減となっています。(図3参照)このようにELASTOSIL® LR 3003/90の硬化ゴムは低摩擦性を有しているため、メカニカルシールやピストン駆動体への応用が期待されます。

le3003z4.jpeg                              図2. 摩擦係数測定の様子

           
lr3003z5.jpg                               図3. 摩擦係数の比較

                            
さらに、ELASTOSIL® LR 3003/90は、以下の一般的なシリコーンゴムの特徴を有しています。
・生体適合性
・化学的安定性
・耐熱性
・低温における柔軟性
・透明性
・恒久的な弾力


用途
 ELASTOSIL® LR 3003/90は、他のグレードとの組み合わせにより、例えば、電動歯ブラシ、ダイビングマスク、電気製品の防水シールなど、多岐にわたる製品の生産を可能とし、様々な用途の展開への可能性を持った材料です。従来は、硬さのある熱可塑性樹脂にシリコーンゴムを組み合わせていたものが、硬さ90のシリコーンゴムをその代わりに使用すれば、高生産性と工程の信頼性を得ることができます。つまり、生産する際の異素材間での違いを考慮することなく、プライマーなしで強力に接着し、完璧な一体成型品となるのです。

単一製品の例
・メカニカルシール
・ピストン駆動体

複合製品の例
・電動歯ブラシ
・ダイビングマスク
・電気製品の防水コネクターパーツ



材料物性
 一般的に硬さを上げるためにフィラーの配合割合を多くすると、粘度が上昇し射出成型機では取り扱いにくくなります。一方、架橋密度が高くなると硬化速度が遅くなるため、成型サイクルが低下し、生産性が下がります。ELASTOSIL® LR 3003/90は、硬さ90を達成しながら、これらの問題を克服するように、設計、開発されました。ELASTOSIL® LR 3003/90は室温での粘度が800,000mPas (せん断速度:10s-1)であり、一般的に使用されている材料供給設備をそのまま使用できます。さらに、硬化速度は従来のELASTOSIL® LR 3003シリーズと同等レベルを維持しているため、高い成型性を実現できます。



                                                           表1. ELASTOSIL® LR 3003/90の物性
物性 測定方法 
伸び DIN 53504 S1 33 %
硬さ DIN 53505 90
引張強さ DIN 53504 S1 8 N/mm2
粘度
(せん断速度:10s-1
DIN 53019 800,000 mPa.s
密度 ISO 1183-1A 1.14 g/cm3
引裂強さ ASTM D 624 B 8 N/mm
                                                                      硬化条件: 一次硬化 165℃ 5分、 二次硬化 200℃ 4時間



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