UV硬化型シリコーン接着剤 SEMICOSIL® 823 UV /824 UV
はじめに
接着剤は工業製品の様々な箇所に利用されており、小さなものは集積回路から、大きなものは航空機や船舶材料に至るまで様々な分野、用途に使用されています。ものを接合する手法は接着剤だけではなく、ボルト、ネジ、はんだ、溶接などがあります。しかし、ボルトやネジによる接合は容易に着脱できる反面、平坦性が悪く厚みが出てしまうという欠点があります。また、はんだ、溶接も高温が必要という欠点があります。これらの欠点に対して接着剤は平坦性が大きく、高温が不要という利点を提供できます。 |
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その中でも、シリコーン接着剤は耐熱性や電気特性に優れているうえに、広い温度範囲で柔軟性のある硬化物が得られることから電子部品用接着剤として最適です。 本稿では、UV硬化型シリコーン接着剤SEMICOSIL® 823 UV、SEMICOSIL® 824 UVの特徴について紹介します。 |
UV硬化型接着剤の特徴
一般的にシリコーン接着剤の硬化方式には以下の3種類があります。
A) 縮合硬化型
B) 付加硬化型
C) UV硬化型
以下に弊社における各硬化型製品の特徴を示します。
各硬化型とも電気・電子用途に広く使用されています。しかし、付加硬化型の製品は加熱によって早く硬化できる利点がある一方、高温で加熱する必要があり、電子部品に負荷がかかります。また、縮合硬化型は室温で硬化できるため、加熱による負荷は避けられますが、硬化時間が長く生産効率に劣ります。これらの硬化型と比較して、UV硬化はUV照射により短時間で硬化するため、前述の両者のデメリットを解消します。
従来のUV硬化型接着剤の課題と弊社品の特徴
UV硬化型接着剤は硬化が縮合硬化型に比べて速く、加熱が不要ということから電子電材用途に最適です。しかし、従来のUV硬化型接着剤は密閉系では使用できないというデメリットがありました。これは、従来のUV硬化型接着剤は組み立て後にUV照射をする必要があり、密閉系では組み立て後にUVを照射することができないためです。
一方で、弊社のUV硬化型接着剤はこのデメリットを解消する特徴を有します。
下図に示すように、弊社のUV硬化型接着剤はUV照射後に一定の作業可能時間があるため、組み立てをする前にUV照射をすることができます。これにより、従来のUV硬化型接着剤では難しかった密閉系への適用が可能となります。
UV硬化型接着剤 SEMICOSIL® 823 UVの特徴
接着力上記のような特徴を有する弊社のUV硬化型接着剤SEMICOSIL
® 823 UVの接着力を以下に示します。
ガラスをはじめ、ポリカーボネート、ABS、アルミニウム、マグネシウムに対して凝集破壊モードを示し、強い接着力を発現します。
UV照射強度による硬化速度の調整
SEMICOSIL® 823 UVはUVの照射強度によって、硬化速度を調整することができます。
以下にSEMICOSIL® 823 UVのUV照射強度別硬化速度を示します。
下図に示すように、UV照射強度を上げることで硬化速度を速くすることができるため、作業時間の調整も可能です。
物性
SEMICOSIL® 823 UVおよびSEMICOSIL® 824 UVの物性を以下に示します。SEMICOSIL 824® UVはSEMICOSIL® 823 UVと同様の接着性および硬化特性を有しますが、低粘度および低硬度の特徴がある製品です。低硬度の製品はその柔軟性を活かして、熱膨張伸縮に対して追従することができ、高温となる電気・電子部品に適します。
おわりに
UV硬化型接着剤は縮合硬化型、加熱硬化型のデメリットを解消できる材料です。また、これまでのUV硬化型接着剤の課題を解決し、密閉系への適用も可能となりました。さらに、弊社のUV硬化型接着剤はプラスチック基材に対して高い接着力を発現し、電気・電子用途への展開が期待されます。
安全性について
・包括的な安全情報については、製品データシート(SDS)をご参照ください。
各製品の詳細情報につきましては、「お問い合わせ一覧」より、お問い合わせください。