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シリコーンとは何か|化学素材としての特性と活用例
シリコーンとは、優れた耐熱性・耐薬品性・柔軟性などを兼ね備えた高機能な化学素材です。
最近では、製造業を中心に、医薬・パーソナルケア製品・食品・電子機器など多様な産業でシリコーンの需要が年々拡大しています。その特性により、機械部品や工業用接着剤、絶縁材料など、幅広い用途での活用が進んでいるのです。
この記事では、「シリコーンとは何か」という基本からわかりやすく解説していきます。
シリコーンの基本情報と化学的構造について
シリコンとの違い
「シリコーン(Silicone)」と「シリコン(Silicon)」は、似たような名称を持ちながらも、まったく異なる物質です。シリコンは元素記号Siで表される「ケイ素」のことで、半導体などに使われる固体の元素です。一方、シリコーンはシリコンを原料とする合成高分子化合物(ポリマー)であり、有機化合物と無機化合物の両方の特性を兼ね備えた有機ケイ素化合物です。
シリコーンは、以下のような形状で製品化されることが多く、用途に応じて適切な形態が選ばれます。
- 液体(オイルタイプ):潤滑剤、離型剤、化粧品原料
- 固体(ゴムタイプ):パッキン、シール材、医療用部品
- 樹脂(レジンタイプ):コーティング材、電気絶縁材料
シリコーンは工業製品の部材から日用品、医薬用途まで幅広く用いられており、その柔軟性・安定性・耐久性が重宝されています。
シリコーンの主な物理・化学特性
耐熱性・耐寒性・耐候性などの耐久性能
シリコーンは、極めて優れた耐久性能を持つ素材として認知されています。
とくに注目すべきは、高温から低温までの広い温度範囲で安定した性能を維持できる点です。
一般的に、シリコーンゴムは−50℃~+250℃の温度範囲でも物性変化が少なく、連続使用が可能とされています。高温環境に晒されるエンジン周辺部品や、低温下でも柔軟性が必要な冷凍設備など、幅広い用途に対応できます。
また、耐候性にも優れており、紫外線やオゾン、風雨といった屋外環境に対しても劣化しにくいため、長期的な使用にも耐えられます。例えば、屋外用シール材や建築用パッキンなどでも使用実績が豊富です。
これらの耐久性は、結果としてメンテナンスの手間やコストの削減にもつながり、総合的なライフサイクルコストの最適化にも貢献します。
電気絶縁性や撥水性などの機能面の特徴
シリコーンは、機能性素材としての側面でも非常に高く評価されています。とくに顕著なのが、電気絶縁性です。シリコーンは、導電性を持たない構造であり、電気機器や電子部品の絶縁材として多用されています。
その一例として、シリコーンは電子基板のポッティング材(封止材)や、コネクタ部のシール材として使用されることがあり、信頼性の高い電気絶縁性能が求められる場面で選ばれています。また、湿度や温度の変化にも強いため、屋外機器や車載部品の電装系にも適しています。
さらに、シリコーンには高い撥水性があります。水や湿気を弾く性質は、防水性が求められる製品のコーティング用途や、防湿対策が必要な電子機器の保護にも有効です。特に、通気性を保ちながらも水を遮断する性能を持つシリコーンは、医療用部品や食品容器など、衛生面への配慮が必要な分野でも活用が進んでいます。
このように、シリコーンは耐久性だけでなく、機能性素材としても多面的な利点を持つため、非常に価値ある選択肢となります。
産業別に見るシリコーンの活用例
製造業(機械・電子機器・自動車分野)での用途
シリコーンは、その物性がもたらすメリットが明確であるため、製造業の現場で不可欠な高機能素材です。
たとえば、機械分野では高温環境下でも劣化しにくいシリコーンゴムが、パッキンやガスケット、ベアリングシールなどの部品に使われています。摩耗や圧力のかかる部位でも性能を維持できるため、設備保守の観点でも有利です。
電子機器分野では、電気絶縁性や耐湿性が評価され、コネクタ部の封止材や基板のコーティング材としての採用が増加しています。湿度の高い日本国内でも信頼性の高い電装部品を構築できる点が大きなメリットです。
また、自動車分野では、耐熱性と耐油性を両立するシリコーン製部品が多用されています。エンジン周辺部、ワイパーブレード、ヘッドライト周辺のシール部材などにおいて、耐久性を高める目的で使用されています。特に近年では、EV(電気自動車)の電装部品にもシリコーンが活用される場面が増えています。医薬・パーソナルケア・食品・繊維分野での用途
シリコーンは、衛生性と安全性が求められる業界でも活躍しています。
化学的安定性・無毒性・耐薬品性といった特性が強みとなり、多彩な製品に応用されています。
医薬分野では、人工呼吸器や注射器の部品、カテーテル、コンタクトレンズといった医療用器具に使われる部材としてシリコーンが選ばれています。これらは人体への影響が少ないこと、滅菌処理に対応できることが必須条件であり、シリコーンの性質が適しています。
パーソナルケア分野では、ヘアケア製品・スキンケア製品・メイク製品の原料として、感触・艶付与、持続性、耐水性、被膜形成性、相溶性、増粘などシリコーンの持つ様々な効果を付与することが出来ます。
食品分野においては、耐熱性と撥水性に優れたシリコーン樹脂が、製造ラインのベルトや食品型(モールド)、ベーキングマットなどに使用されています。食品に直接触れる場面でも、FDA(米国食品医薬品局)や厚労省の基準に適合した素材として安心して使うことができます。
また、繊維分野では、柔軟性や撥水性を活かした加工剤やコーティング剤として、衣類や産業資材に採用されています。特に作業着や防水ウェアなど、機能性を重視した製品においては、シリコーン由来のコーティングが高評価を受けています。
シリコーン素材の選定ポイントと調達時の注意点
医薬・パーソナルケア・食品・繊維分野での用途
シリコーン素材を選定する際には、用途に応じた物性と形状の選定が不可欠です。製品の使用環境や目的を明確にしたうえで、下記の性能に注目する必要があります。
まず、耐熱性や耐薬品性の必要レベルを確認することが重要です。たとえば高温環境に使用する部品であれば、シリコーンゴムの中でも高耐熱グレードを選定する必要があります。一方、食品や医療用途では、安全性(FDA認証やISO規格対応など)を備えたシリコーン材料が求められます。
また、形状(フォーム)も使用条件に大きく関わります。代表的な形状には以下があります。
- 液状タイプ:接着・コーティング用途、精密部品の封止などに最適
- ゴムシート・成型品:ガスケット、パッキン、シール材など、機械部品向けに多用
- フォーム(発泡体)タイプ:緩衝材や断熱材用途に適している
このように、性能だけでなく形状の適合性を加味することで、製造工程や最終製品の品質に大きな影響を与えます。
サプライヤー選定と品質保証のチェック項目
シリコーン製品の調達において、信頼できるサプライヤーの選定は非常に重要です。特に製造業では、品質の安定供給とトレーサビリティの確保が求められます。
サプライヤー選定時には、以下のような項目をチェックするとよいでしょう。
- 原料の品質とロットごとの安定性
⇒ 一貫した物性を維持できる体制が整っているか - 認証取得状況(ISO9001、ISO13485、RoHS、REACHなど)
⇒ 特に医療・食品業界では必須項目 - 納期遵守率や供給実績
⇒ 安定した供給が可能か、過去の納品トラブル履歴なども確認する - 技術サポートの有無
⇒ 成形・加工・接着などにおける技術的なフォロー体制があるかどうか
また、調達担当としては、製品スペックシートやSDS(安全データシート)の取得も必須です。これにより、使用条件への適合性を技術部門と連携して判断しやすくなります。
加えて、万が一の不具合対応や品質保証体制も評価基準の一つです。特に量産品に使用する場合は、品質管理体制が明確である企業を優先するのが望ましいです。
まとめ
シリコーンは、「耐熱性」「耐薬品性」「柔軟性」「電気絶縁性」など、多様な物理・化学特性を兼ね備えた高機能素材です。これらの特性により、機械や電子機器、自動車、医薬、食品、繊維といった幅広い産業での活用が進んでいます。
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