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電子部品用シリコーンエラストマー材料

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1. はじめに

電気絶縁性、耐候性、耐熱性および応力緩和特性に優れたシリコーンエラストマー材料は広範囲の電気電子部品に使用され、高機能化、モジュール化に寄与している。たとえば、自動車用電装部品(レギュレーター、ABS、エアフロセンサー)、パワーデバイス部品、家電、通信機器および太陽電池などの用途に使用されている。

旭化成ワッカーシリコーン㈱は、電子部品用シリコーンエラストマー材料として、「ELASTOSIL ® 」(エラストジル)および「SEMICOSIL ® 」(セミコジル)シリーズの拡充を図っている。以下に、すでに販売されている接着・シーリング材およびポッティング材に加え、最近上市された耐熱性および耐寒性に優れたゲルタイプのポッティング材製品の紹介も行う。

2. 製品紹介

2. 1 接着・シーリング材

接着・シーリング材として、縮合脱アルコール硬化型および付加硬化型を取り揃えている。主な製品と特性を表1、表2に示す。
脱アルコール型は、金属腐食性が低く、臭気もほとんどない為、電気・電子用途の他、一般工業用途にも幅広く使用されている。
粘度は流動タイプから非流動タイプまでを取り揃え、いずれも適度なタックフリータイム(指触乾燥時間)を有し、プライマーレスで、各種被着体に強固な接着性を発現させることが可能である。
特にELASTOSIL ® N9132Sは、高い伸張性(伸び600%)と低モジュラス特性に加え、付加硬化型シリコーンエラストマーに対する硬化阻害に対する影響がないといった特徴がある。
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図1 せん断速度と材料の粘度挙動

付加加熱硬化型接着・シーリング材もプライマーレスで各種被着体に強固な接着性を発現させることが可能な、SEMICOSIL ® シリーズを取り揃えている。SEMICOSIL ® シリーズの最大の特徴は、チクソ性と呼ばれる独特な粘度挙動である。

高圧時(材料吐出中)は、一次的に粘度が低くなることで低圧吐出を可能とし、一方、低圧時(材料吐出後)は、粘度が急激に上昇することで、液ダレしにくく、良好な塗布・ディスペンシング作業性を可能とした。

図1に材料粘度挙動のせん断速度依存特性について、SEMICOSIL ® 989/1Kと他社接着材を比較した結果を示す。

この結果からもSEMISOSIL ® 989/1Kの独特なチクソ性挙動が確認できる。

表1 1液縮合硬化型接着・シーリング材の主な特徴と一般特性

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表2 1液付加加熱硬化型接着・シーリング材の主な特徴と一般特性

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2.2 ポッティング材

ポッティング材(封止剤)として、エラストマータイプとゲルタイプを取り揃えている。エラストマータイプには、縮合硬化型および付加硬化型があり、ゲルタイプは付加硬化型のみとなる。

付加硬化型のELASTOSIL ® RT 601、RT 604は、優れた高透明性(透過率90%以上/400-800nm)や耐候性により光学用途への採用実績もある。自己接着性が付与された付加硬化型のELASTOSIL ® RT 745”S”は低硬度(Shore A:5)で柔軟性(伸び:650%)に優れ、未硬化時の流動性が高く(粘度:1000mPa・s)、ポッティングやコーティングなど幅広い用途への応用が期待できる。

シリコーンゲルは、シリコーンゴムの架橋密度を極端に低くした非常に柔らかい弾性体材料であり、外部応力に対し非常に敏感な電子部品の封止に好適な材料で、自動車電子部品やパワーモジュールなど、各種電子部品の封止材として使用されている。

ゲルタイプのポッティング材としては、1液および2液付加硬化型製品を取り揃えている。WACKER SilGel ® 610、WACKER SilGel ® 612は、透明性、粘着性、応力緩和特性等に優れる。SEMICOSIL ® 911、SEMICOSIL ® 924は、チクソ性を有し、部分封止用途に好適な材料である(図2参照)。

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また、ゲル状でありながらオイルブリード(滲み出し)が非常に少なく、電子部品の汚損防止に好適な材料である(図3参照)。

また、最近の更なる耐熱性や広温度範囲で使用可能な材料の要望に対応するため、耐熱性に優れるSEMICOSIL ® 915 HTや耐寒性に優れる EMICOSIL ® 920LT を製品ラインナップした。

さらに、汎用ゲル材料としてCENUSIL ® GEL 100を製品ラインナップした。ポッティング用シリコーンエラストマーの特徴と一般特性を表3、表4に示す。また、耐熱、耐寒ゲルの温度特性を表5、図4に示す。

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図4 SEMICOSIL ® 915 HTの耐寒特性(標準ゲル:WACKER SilGel ® 612との比較)

表3 ポッティング材(エラストマータイプ)の主な特徴と一般特性

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表4 ポッティング材(ゲルタイプ)の主な特徴と一般特性

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表5 ポッティング材(ゲルタイプ)の耐熱特性

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3. おわりに

今回ご紹介した製品は、電子部品用材料として多くの実績を持ち、日本市場でのお客様のご要望にも十分満足頂ける材料であると確信する。今後、高い信頼性と環境面で優れるシリコーン材料への期待はさらに高くなることが予想され、当社としてもお客様のご要望に即した材料開発を引き続き行っていきたいと考えている。

*「ELASTOSIL ® (エラストジル)」、「SEMICOSIL ® (セミコジル)」は、ワッカー・ケミー社の登録商標です。

各製品の詳細情報につきましては、「お問い合わせ一覧」より、お問い合わせください。

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