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建築で使われるシリコーンとは何か?種類や特徴、シーリング材の役割

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近年、日本国内のあらゆる業界において、環境に配慮したサステナブルな先進建築や、建物の長寿命化による資産価値の向上が強く求められるようになっています。そのような中、オフィスビルや商業施設、工場、住宅にいたるまで、省力化や耐久性向上の要請に応える不可欠な素材として注目を集めているのが「シリコーン」です。

本記事では、建築分野におけるシリコーンとは何かという基本から、ガラス間を美しく密閉するコーキング材としての役割、床材・コーティング材への最新の活用方法までを分かりやすく解説します。さらに、環境に優しく暮らしやすい未来の「スマートビルディング」を支えるシリコーンの重要性についても深く掘り下げていきます。



1.建築におけるシリコーンとは何か?

建築現場に不可欠な高機能素材「シリコーン」の概要

日本国内の企業が直面する経営環境は、現在大きな転換期を迎えています。
原材料価格の高騰や深刻な人手不足、さらにはGX(グリーン・トランスフォーメーション)への対応など、多様な対応を同時に進めていかなければなりません。このような状況下で、自社の保有するオフィスビル、工場、店舗といった建築資産の価値をいかに長期にわたって維持し、無駄な修繕コスト(メンテナンスコスト)を削減するかは、業界を問わずすべての企業にとって重要な課題となっています。

こうした建築物の耐久性向上と環境対応を足元から支えている不可欠な素材が「シリコーン」です。シリコーンは、天然の珪石から作られるケイ素(シリコン)を科学的に合成して生み出される高機能な有機ケイ素化合物です。ゴムのような柔軟性を持ちながら、プラスチックや一般的な天然ゴムを遥かに凌駕する優れた化学的安定性を備えているため、現代の建築現場にはなくてはならない存在として広く普及しています。


なぜ建築物で多用されるのか?

建築資材にシリコーンが多用される最大の理由は、過酷な外部環境に長期間耐えうる圧倒的な「信頼性」にあります。

  • 耐候性と長寿命化への貢献
    一般的な有機系材料は、太陽光に含まれる紫外線や風雨にさらされると時間の経過とともに劣化し、ひび割れや硬化を起こしてしまいます。しかし、シリコーンは分子構造(シロキサン結合)が非常に強固であるため、紫外線による劣化をほとんど受けません。これにより、建物の隙間を埋める防水材や表面の保護材として使用した場合に、数十年にわたって初期の性能を維持し続けることが可能になります。資材の寿命が延びることは、結果として突発的な修繕コストの発生を抑えることに寄与します。
  • 卓越した耐熱性と耐寒性
    日本の四季がもたらす激しい温度変化、あるいは近年の地球温暖化に伴う夏季の酷暑や冬季の厳冬に対しても、シリコーンは抜群の安定性を発揮します。マイナス数十度の極寒から200度を超える高温域にいたるまで、その柔軟性や弾性を失うことがありません。高熱にさらされる工場の屋根周りや、寒冷地における屋外設備の防水・接合部など、他の素材では対応が難しいデリケートな場所でも安心して使用できる点が特徴となっています。


このように、建物の長寿命化や資産価値の保護のため、適切な場所へ高品質なシリコーン資材を導入することは耐久性向上に役立ちます。


2.建築用シーリング材(コーキング材)の基本とシリコーンの役割

シーリング材(コーキング材)の基本的な知識と役割

建築物の長寿命化や、突発的なメンテナンス費用の抑制を図る上で、建物の「隙間(目地)」をどのように処理するかは非常に重要です。
気密性や防水性を確保するために、この隙間に充填される液状の資材がシーリング材(コーキング材)です。

建築現場におけるシーリング材の最も主要な役割は、外壁の継ぎ目や窓枠、サッシ周りからの「雨水の浸入防止」です。
また、日本の建築物は地震や風、あるいは気温変化に伴う建材の伸縮などによって、常に微細な動きを繰り返しています。シーリング材がゴムのような高い弾性を持ってこれらの動きを吸収しなければ、建材同士がぶつかり合って破損したり、外壁にひび割れが生じたりするリスクが発生します。

このように建物の安全性を陰から支える存在として、様々な種類のシーリング材が現場の状況に応じて選定されています。


ガラスとガラスの間を埋める「シリコーン系シーリング材」の強み

数あるシーリング材のなかでも、ガラス窓やカーテンウォール(高層ビルのガラス外壁)の接合部、あるいは内装のガラスパーティションといった「ガラスとガラスの間を埋める用途」において、最も高い優位性を発揮するのが「シリコーン系シーリング材」です。

  • 高い透明度と意匠性の維持
    シリコーン系シーリング材は、クリア(透明)タイプの製品において圧倒的な美しさを保ちます。他の樹脂製防水材と異なり、長期間光にさらされても黄色く変色する心配がほとんどありません。そのため、ガラス面のシームレスなデザインを損なうことなく、開放的で美しい建築美をそのまま表現することができます。
  • 抜群の追従性と耐久性
    ガラスは熱を吸収しやすく、季節や昼夜の温度差によって想像以上に膨張と収縮を繰り返す素材です。シリコーン系は硬化後も非常に優れた柔軟性を有しているため、ガラスの激しい動きにもしっかりと追従し、剥がれや隙間の発生を長期にわたって防ぎます。

他のシーリング材(ウレタン系・変成シリコーン系など)との違いと使い分け

建築で使用されるシーリング材には、シリコーン系以外にもウレタン系や変成シリコーン系など、いくつかの代表的な種類が存在します。限られた修繕予算を賢く活用し、建物の付加価値を最大限に高めるためには、これらの特性を理解した正しい使い分けが欠かせません。

  • シリコーン系
    耐熱性・耐候性が極めて高く、ガラス周りや水回り(キッチン、浴室)に最適である一方、その優れた撥水性ゆえに「上から塗装ができない」という特徴があります。そのため、外壁の塗装仕上げを予定している場所には原則として使用されません。
  • 変成シリコーン系
    シリコーンという名が含まれていますが、成分は異なります。シリコーン系に比べて耐候性はやや劣るものの、最大の特徴は「上から塗装ができる」点です。外壁のサイディング目地やコンクリートの補修、モルタルの隙間など、最も汎用性が高く多目的に使用されています。
  • ウレタン系
    高い弾性と接着性を持っているため、コンクリートやタイルの目地防水に優れています。ただし、紫外線に非常に弱く、露出したままにすると急速に劣化してしまう傾向があります。このため、原則として塗膜防水の下地や、上から必ず塗装を行うことを前提とした場所に使用されます。


それぞれの資材が持つ強みを正しく見極めて適材適所で活用することが、建物の長寿命化を達成するための大前提となります。


3.進化する床材とコーティング材へのシリコーンの活用方法

建物の美観と耐久性を高めるシリコーンコーティングとは?

物価高の継続や構造的な人手不足が続くなかで、一度施工した建築資産をいかに長持ちさせ、美観を損なわずに維持するかは経営上の重要なテーマです。こうしたなか、建物の防護対策として高い注目を集めている技術が「シリコーンコーティング」です。

シリコーンコーティングとは、対象物の表面にシリコーン特有の強固なシロキサン結合をベースとした透明な被膜を形成するシールド技術です。
一般的なワックスや有機系のコーティング剤は、数年で劣化して剥がれたり、光による変色を起こしたりしやすい欠点を持っています。一方、シリコーンによる被膜は紫外線や熱、化学薬品に対して圧倒的な耐性を誇るため、一度の施工で長期間にわたり対象物の表面を保護し続ける性質があります。これにより、建物の耐久性を飛躍的に高めることが可能となります。


床材への活用メリット:防滑性、耐摩耗性、メンテナンスコストの削減

シリコーンコーティングの技術は、特に建物のなかでも最も摩耗が激しく、安全性が強く求められる「床材」の分野で素晴らしい効果を発揮します。

  • 優れた防滑性による安全性向上
    シリコーンの被膜は適度な摩擦抵抗(グリップ感)を生み出すため、床が濡れた状態であっても滑りにくくなるという優れた防滑性を備えています。企業のオフィスや商業施設の通路における転倒事故を防ぐだけでなく、工場や倉庫における作業環境の安全確保にも大きく貢献する性質があります。
  • 圧倒的な耐摩耗性による長寿命化
    人流や重機の移動が多い場所では、床材の摩耗や傷が日常的に発生します。シリコーンコーティングを施した床面は非常に硬く、かつ柔軟性のある保護層で覆われるため、引っかき傷や衝撃からデリケートな床材をしっかりと守ります。
  • 定期メンテナンスコストの劇的な削減 従来の床管理では、定期的なワックス掛けや剥離作業に多くの人手と費用を投じる必要がありました。シリコーンコーティングは汚れが染み込みにくく、日常のお手入れは簡単な拭き掃除だけで済むため、長期的な維持管理費や清掃人員の手間を大幅に削減できます。人手不足が深刻化する現代ビジネスにおいて、この省力化メリットは大きな強みとなるでしょう。

4.スマートビルディングとサステナブル建築を支えるシリコーンの環境価値

次世代の建物「スマートビルディング」にシリコーンが不可欠な理由

現代のビジネスにおいて、脱炭素化やサステナブルな経営への取り組みは、取引先や社会から「選ばれる企業」であり続けるための重要な経営戦略となっています。
大企業を中心にサプライチェーン全体での環境対応を求める声が強まるなか、自社が保有・管理するオフィスビルや工場を先進的な環境配慮型施設へとアップデートしていくことは、企業の社会的信用を大きく左右します。

このような背景から普及が進む次世代の建物が、デジタル技術と高機能資材を融合させた「スマートビルディング」です。スマートビルディングと聞くと、AIによる空調制御やIoTセンサーの活用といったシステム面ばかりに目が向きがちですが、建物の物理的な気密性や断熱性を担保する高機能な基礎資材がなければ、その省エネ効果を最大限に発揮することはできません。
スマートビルディングが目指す「高いエネルギー効率」と「快適な環境維持」を物理的な側面から支える資材として、シリコーンはまさに必要不可欠な存在となっています。


環境に優しく、暮らしやすい建物づくりへの貢献

シリコーンがサステナブル建築やスマートビルディングにおいて高い環境価値をもたらす背景には、その独自の化学的特性が深く関係しています。

  • 卓越した気密性と断熱性による省エネ効果
    シリコーン系シーリング材を用いて、ガラス外壁(カーテンウォール)やサッシ周りの隙間を寸分の狂いもなく密閉することにより、建物全体の気密性が飛躍的に向上します。室内の冷暖房効率が極めて高くなるため、無駄な電力消費を大幅に削減し、企業のエネルギーコストと二酸化炭素排出量の削減を同時に達成することが可能です。
  • 建物の長寿命化がもたらす廃棄物削減と循環経済への適応 中小企業白書などでも指摘されている通り、現代の企業経営において費用(売上原価や管理費)の低減を追求し、労働生産性を高めていくことは大きな課題です。シリコーンは紫外線や風雨による劣化が非常に少ないため、建物の防水性能や床材の表面保護を数十年にわたって維持し続けます。これにより、頻繁な修繕工事に伴う建材の廃棄(スクラップ&ビルド)を減らし、資源の浪費を抑える循環経済(サーキュラーエコノミー)の実現に直接貢献します。
  • 有害物質を含まない、人に優しい安全性
    シリコーンは環境だけでなく、建物内で過ごす人々の「暮らしやすさ」にも配慮した安全な素材です。化学的にきわめて安定しており、シックハウス症候群の原因となるような有害な揮発性有機化合物(VOC)をほとんど排出しません。企業のオフィスや商業施設、あるいは医療機関や学校にいたるまで、誰もが安心して長く過ごせる健やかな空間づくりを支えています。


環境に優しく、かつ建物の耐久性を最大化させるシリコーンの使用は、持続可能な未来への道を拓く確かな一歩となるでしょう。


5.まとめ

建築という分野において、シリコーンが果たす役割は極めて多岐にわたります。
建物の雨水浸入を防ぐ基本的なシーリング材としての機能はもちろんのこと、最新のガラス建築における美観と柔軟性の両立、床材やコーティング材の保護による定期メンテナンス費用の削減にいたるまで、その貢献度は計り知れません。

さらに、現代の企業に課せられた脱炭素化やサステナブルな建築運営といった高い環境価値(GX)に対しても、シリコーンはその卓越した長寿命化の特性と省エネ性能をもって応えています。資材の長寿命化による無駄なコストの抑制は、これからの「金利のある世界」や物価上昇の局面において、企業の経営力を足元から高める重要な防衛策とも言えます。

シリコーンの基本特性を正しく把握し、自社の建築資産の維持管理やスマートビルディング化にぜひ役立ててみてください。


さらに詳しく知りたい方は下記もご確認ください。
用途例ごとのシリコーンを知りたい方
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