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限られたシリコーンで差をつける ― 離型剤の開発と特許(特許第7776272号)―  本村さん(開発担当)インタビュー 開発の出発点は「競合との差」

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 今回の開発のきっかけは明確でした。競合製品の方が付着性に優れている、という市場の評価です。AWSとしては、シリコーンそのものを新規合成することはできない制約があります。そこで、既存のシリコーン材料の組み合わせ処方設計により、付着性改善を目指しました。「限られた範囲の中でどう改良するかを考えざるを得なかったことが、結果として発明につながりました。」この“制約”こそが、最短ルートでの開発を可能にした要因でした。

処方開発と特許は同時に進めるべき

 今回の特許出願の過程で得られた大きな学びの一つが、「特許を意識した開発の重要性」です。従来は、製品開発後にデータを追加取得するケースもありましたが、初めから特許出願を前提に設計範囲(レンジ)データを意識した実験設計を行うことで、効率が大きく向上しました。「書くことを念頭に実験を組むことで、データの取り直しが減ると気づきました。」「手元に材料がある時点で、少しずつ条件を振る試験、極端な条件での検証などもやってみることで、“なぜその範囲が良いのか”を説明できるデータ設計が可能になります。

顧客との対話がイノベーションを生む

 開発における最大の気づきの一つは、課題はラボでは見えないことが多いという点です。
 実際の成功事例として、以下があります:

  • 従来評価:固形分・粒子径などの安定性評価
  • 顧客提案:スプレー試験

 AWSでは従来は固形分・粒子径などの安定性評価を実施していましたが、顧客からのヒアリングの中からヒントを得た「スプレー試験」を実施した結果、シリコーンエマルジョン単体でも付着性の差が明確に見えることが判明しました。「スプレー試験をやってみたところ、明確な違いが見え、新しい気づきにつながりました。」さらに重要だったのは、雑談から得られる情報です。「他社への不満などの会話の中にヒントがあることも多い。」

特許は「守り」だけでなく「攻め」の武器

 今回の出願の背景には、20年以上前に出願したPRTR対応特許の期限切れという事情もありました。
 新規特許には以下の役割が期待されています:

  • 既存製品の防御
  • 他社の参入牽制
  • 将来交渉でのカード

「特許は自分の発明を守るだけでなく、相手が入りにくい領域を押さえることで交渉の切り札になります」また、意図的に広く権利範囲を設定することで、将来の開発余地を確保するという考え方も重要です。本村さんは、特許出願は開発と同時並行にスピーディーに進め、顧客の声にも耳を傾けながら、乳化剤削減・環境対応等も含めた今後の重要テーマに取り組んでいきたいと話しています。

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