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競争力を高めるスマートビルディングのポイント シリコーンがもたらす変革
歴史的な円安や物価高の継続、そして構造的な人手不足は、日本国内のあらゆる企業にとって深刻な利益下押しリスクとなっています。特に、国内の従業者数の約7割を占める中小企業においては、従来のコストカット戦略だけでは現状維持も難しく、デジタル化や設備投資を通じて労働生産性を高める「戦略的経営」への転換が求められています。こうした環境変化のなかで、新たな解決策として注目されているのが、建物内の設備や環境を最適化する「スマートビルディング」です。
ただし、スマートビルディングを機能させ、企業の競争力につなげるうえで見落とされがちなのが、ITシステムを支える建築・設備そのものの信頼性、すなわち「素材」の視点です。この記事では、スマートビルディングがもたらす経営上のメリットと導入のポイントを整理したうえで、ビル内の通信インフラや設備を過酷な環境から守る最後の砦として、化学素材「シリコーン」が果たす役割をご紹介します。
1.国内企業を取り巻く経営環境の変化とスマートビルディング
コストカット戦略の限界と営業利益向上への必要性
日本国内の企業、とりわけ地域経済の雇用を支える中小企業は、原材料・エネルギーコストの上昇と、人材確保のための人件費増という二重の圧力にさらされています。こうしたなかで、支出を削ることを主軸に据えた従来型の経営戦略は限界を迎えつつあります。コストを削るだけでは現状維持にとどまり、営業利益そのものを押し上げる施策へ舵を切る必要があります。
持続可能な賃上げや次の設備投資への余力を生み出すために不可欠なのが、業務の効率化と労働生産性の向上です。限られた人的リソースのなかで付加価値を高めていく「戦略的経営」への転換が、いま多くの企業に求められています。
次世代の経営戦略として注目されるスマートビルディングとは
スマートビルディングとは、建物内に張り巡らされた通信インフラやIoTセンサーを活用し、設備管理やエネルギー消費、空間の利用状況をリアルタイムで把握・最適化する建物を指します。
AIやデジタル技術によって照明・空調を自動制御し、無駄なエネルギーコストを抑えるだけでなく、施設管理の省力化によって人手不足の緩和にも寄与します。単なる「ハイテクな建物」ではなく、労働生産性を底上げし、営業利益を確保するための経営基盤として機能する点が、いま注目される理由です。
そして、その効果を長期にわたって維持するためには、ITシステムだけでなく、通信インフラや機器を過酷な環境から守る「素材」の選択が鍵となります。
2.スマートビルディングが企業の競争力を高める3つの理由
1. デジタル化・DXによる業務効率化と現業職の人手不足解消
国内企業が直面する深刻な経営課題の一つが、労働供給制約に伴う慢性的な人手不足です。中小企業庁「2025年版 中小企業白書」でも、製造作業者や販売・サービス職業従事者、建設作業者といった現業職の人手不足感は、管理職や事務職と比べて強い傾向が示されています。
建物内の設備管理や清掃、警備、エネルギー監視といった、従来は人手に依存していた業務をIoTセンサーや自動管理システムへ移行することで、ビルメンテナンスや施設運営の省力化が進みます。限られた人的資源をコア業務へ振り向けられるようになり、労働生産性の向上と人手不足の緩和を同時に狙えます。
2. エネルギー管理の最適化による固定費(コスト)の削減
電気料金をはじめとするエネルギーコストの高騰は、企業の収益力を圧迫する要因です。営業利益を確保するうえでは、建物維持にかかる固定費をいかに戦略的に抑えるかが重要になります。
スマートビルディングでは、室内の温度やCO2濃度、人の滞在状況をセンサーが検知し、空調や照明を自動で制御します。人がいないエリアの稼働を抑えることで、光熱費をはじめとするビル管理コストの継続的な削減が期待できます。一律の経費削減とは異なり、データにもとづいて無駄だけを取り除ける点が、この仕組みの特徴です。
3. 快適なオフィス環境の整備に伴う人材の獲得・定着率の向上
人手不足が常態化するなかで、人材の確保と定着(リテンション)は企業の成長を左右します。待遇の改善に加えて、「働きやすい職場環境の整備」に取り組む企業が増えているのは、そのためです。
適切な温度管理や十分な換気、最適な照明設計が施されたワークスペースは、従業員の負担を軽減し、日々の業務パフォーマンスやエンゲージメントの向上につながります。働く環境の質は求職者へのアピール材料になるだけでなく、既存従業員の満足度を高め、離職防止にも寄与します。
こうした業務効率化・コスト削減・人材戦略という3つの効果は、デジタルシステムや通信ネットワークが安定して稼働してはじめて成立します。そしてその安定稼働は、結露や外気、熱から設備を守る建築・設備素材の信頼性に支えられています。その役割を担う素材の一つが、高い耐候性と耐久性を持つ「シリコーン」です。詳しい特性は後の章で解説します。
[引用・参照元情報]
- 中小企業庁:2025年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要
- 中小企業庁:2024年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要
3.スマートビルディング化を成功に導く導入のポイント
自社の現状把握と長期的な視野を持った経営計画の策定
スマートビルディング化を成功させるには、ITシステムを闇雲に導入するのではなく、まず自社のオフィス環境や施設維持における課題を正確に見極めることが欠かせません。物価高や金利上昇など外部環境が変化し続けるなかでは、その場限りの対策を重ねても効果は限定的です。
中小企業白書では、長期を見据えた経営計画を策定している企業ほど、売上高や付加価値額を伸ばしている傾向が示されています。建物内のデジタル化や設備投資についても、長期的なマイルストーンから逆算し、段階的に進めるアプローチが現実的です。
オープンな連携体制:外部プレイヤーやベンダーとの適切な関係構築
建物全体のスマート化を自社単独の知見やリソースだけで完結させるには限界があります。システムを構築するベンダーや仕入先、支援機関といった外部の多様なプレイヤーと連携し、オープンな協力体制を築くことが成功の鍵を握ります。
自社に欠けているデジタル人材やノウハウを外部との関係構築によって補完し、計画の策定から実行まで一気通貫で進められる体制を整えることが重要です。
BCP(事業継続計画)の視点:災害時や平時でも稼働し続けるインフラの構築
忘れてはならないのがBCP(事業継続計画)の視点です。建物内がどれほど高度にデジタル化されていても、大規模な災害や停電によって通信インフラや管理システムが遮断されれば、企業活動そのものが停止しかねません。
スマートビルディングにおけるBCP対策としては、非常用電源の確保、通信回線の冗長化、建物そのものの耐震性・防水性の強化などが挙げられます。これらの取り組みは、不測の事態からの復旧を早めるだけでなく、顧客からの信頼獲得や、従業員が安心して働ける環境づくりにもつながります。
長期を見据えた計画策定、外部とのオープンな連携、そしてBCPの視点。この3点を満たす前提となるのが、センサーやサーバー、高密度な配線・通信ケーブルを、平時の湿気や漏水、災害時のダメージから物理的に守る「素材」の信頼性です。次章では、その役割を担う化学素材「シリコーン」について解説します。
4.進化するIT設備とインフラを支える化学素材「シリコーン」の役割
スマートビルディングにおける先進IT・通信機器の増加と課題
スマートビルディング化を進めると、建物内には大量のIoTセンサー、カメラ、サーバー、高密度な配線システムが配置されます。これらは労働生産性の向上や設備維持コストの削減を支える一方で、精密機器が増えること自体が、ビル全体の「物理的な脆弱性」を高めるリスクも伴います。
デジタル設備が稼働し続けるためには、安定した通信インフラの維持が前提となります。しかし、天井裏や外壁、屋上、配管内など、精密機器が設置される環境は決して一様ではありません。結露や湿気、振動、機器自体の発熱による誤作動や故障は、スマートビルディング運営において防がなければならない重大な課題です。
過酷な環境から電子基板を守るシリコーンの「優れた特性」
こうした先進IT機器や電子基板を物理環境から守る素材の一つが、化学素材「シリコーン」です。シリコーンは珪石(けいせき)を出発原料とし、有機材料と無機材料の両方の性質を併せ持つ高機能材料で、電子部品の保護、ポッティング(封止)、接着・シール、放熱対策など、幅広い用途で使われています。以下では、スマートビルディングに関わる代表的な3つの特性を見ていきます。
耐熱性・耐寒性:激しい温度変化から精密機器を保護
日本の四季による温度変化や、高層建築特有の外気環境は、精密なデジタル設備に負荷を与えます。シリコーンゴムは、一般的な有機ゴムが硬化・劣化してしまうような低温域・高温域においても、柔軟性や弾性を保ちやすい点が特徴です。
屋上や外壁付近に設置される5G基地局などの通信設備や、屋外設置のIoTセンサーにおいて、熱膨張・収縮による内部部品の破損を防ぎ、稼働の安定に寄与します。
電気絶縁性・放熱性:大容量データ通信に伴う発熱の抑制
多数のセンサーが生み出す大容量のデータ通信や、AIによる高速処理は、通信機器や電力供給システム自体の発熱を伴います。熱が電子基板内にこもると、システムの停止や故障の原因となるため、効果的な熱管理(サーマルマネジメント)が必要です。
シリコーンは電気絶縁性に優れる一方、熱伝導性フィラーを配合することで放熱性を高められる点が特徴です。絶縁性を保ちながら熱を逃がせるため、電子機器の熱対策材料として広く用いられています。具体的な製品形態については、次章で解説します。
耐候性・防水性:高層・スマートビルの長期的な信頼性を担保
屋外に設置される機器や、高層ビルの窓ガラスまわり・金属部の接合部では、耐候性と防水性が長期的な信頼性を左右します。シリコーンは、太陽光の紫外線やオゾン、雨水に対する耐性が高く、長期にわたって性能を維持しやすい素材です。
建物の歪みや振動に追従する弾性を備えるため、水分の侵入を抑え、内部結露や配線の腐食リスクの低減に寄与します。この耐久性が、ITシステムとインフラ全体の長寿命化を支えます。
シリコーンの技術仕様や製品ラインナップの詳細は、製品サービス案内よりご確認いただけます。
5.建物の長寿命化とスマート化を両立するシリコーンの具体的な適用領域
IoTセンサーや通信モジュールのポッティング(封止)材
スマートビルディングの神経系にあたる各種IoTセンサーや通信モジュールは、微細な電子部品で構成された精密機器です。結露や湿気、塵埃(じんあい)にさらされると、ショートや誤作動を引き起こし、ビル管理全体の停止につながる恐れがあります。
シリコーンポッティング材(封止材)は、電子基板や内部回路を液状の樹脂で包み込み、硬化させることで保護します。防水性と電気絶縁性によって水分やホコリの侵入を抑え、硬化後も柔軟性を保つため、建物の微細な揺れによる断線リスクの低減も期待できます。
スマートビル制御パネルやパワー半導体の放熱シート・グリス
空調や照明を制御するスマートビルの制御パネルや、電力変換を担うパワー半導体は、動作に伴って発熱します。熱が内部に滞留すると電子部品の劣化や誤作動の原因となるため、確実な放熱対策が欠かせません。
ここで用いられるのが、シリコーンをベースにした放熱シートや放熱グリスです。発熱する半導体チップとヒートシンク(放熱板)の間のわずかな隙間や凹凸に密着し、熱を効率よく外部へ逃がします。温度変化を繰り返しても硬化やひび割れが起きにくいため、長期間にわたり安定した放熱性能を維持しやすいことも利点です。
高耐久なシーリング材による建物の気密性向上と省エネへの貢献
光熱費という固定費を戦略的に抑えるためには、空調システムの効率化と並行して、建物そのものの「気密性」を高める必要があります。AIが高度な空調制御を行っても、窓枠や外壁の接合部から外気が侵入したり、室内の冷暖気が漏れ出したりしていては、省エネ効果は十分に発揮されません。
シリコーン系シーリング材は、紫外線・雨風・オゾンに対する耐性が高く、ガラスまわりや金属まわりの目地において、長期にわたる防水・気密ラインを形成します。ゴム弾性による目地追従性を備えるため、建物の経年変化や地震時の動きもしなやかに吸収し、雨漏りによる内部腐食などの構造劣化を防ぎます。
なお、建築用シーリング材には用途ごとに適した種類があります。塗装仕上げを前提とする外壁目地では、塗料が付着しにくい・周辺部を汚染しやすいといったシリコーン系の性質から、変成シリコーン系やポリウレタン系が選定されるのが一般的です。部位に応じた材種選定が、結果として建物の長寿命化と省エネ経営の土台を築きます。
6.まとめ
コストカット中心の経営が限界を迎えるなか、スマートビルディングは、業務効率化・エネルギーコスト削減・人材の獲得と定着という3つの側面から、企業の競争力を支える経営基盤となり得ます。
導入を成功させるポイントは、①自社の課題を正確に把握したうえで長期の経営計画に組み込むこと、②外部ベンダーとオープンに連携すること、③BCPの視点でインフラの継続稼働を設計すること、の3点です。
そして、これらの仕組みを長期にわたって支えているのが、目に見えにくい「素材」の信頼性です。耐熱性・耐寒性、電気絶縁性と放熱性、耐候性・防水性を併せ持つシリコーンは、ポッティング材、放熱シート・グリス、シーリング材といった形で、スマートビルディングの安定稼働と建物の長寿命化に貢献します。
自社の建物やIT環境に適したシリコーン製品の選定は、製品サービス案内よりご確認いただけます。
さらに詳しく知りたい方は下記もご確認ください。
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