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EVバッテリー向け放熱性シリコーン接着剤の開発と特許

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 EVバッテリーでは、アルミニウム製の筐体に、絶縁性を確保するためのPETやポリカーボネート製シートが部分的に貼られます。そのため、接着剤には、アルミニウムと樹脂の双方に接着する性能が求められます。さらに、バッテリーへの影響を考慮すると、硬化時に高温で加熱することができません。今回は、こうした条件に対応する放熱性シリコーン接着剤の開発と特許取得について、発明者の内田さんに話を聞きました。

過去の研究経験を新しい用途へ
Q.今回の開発で、特に難しかった点は何ですか。

 従来の放熱性接着剤では、金属同士の接着が中心でした。しかし、今回の用途では、一つの接着剤でアルミニウムだけでなく、PETやポリカーボネートにも接着する必要がありました。特にポリカーボネートは、シリコーンが接着しにくい材料です。私は以前、LSR(液状シリコーンゴム)の研究でポリカーボネートへの接着を検討していました。その経験から、樹脂との相溶性を利用する方法に可能性があると考えました。

低い硬化温度で接着力を確保
Q.どのような技術的な工夫を行いましたか。

 バッテリー用途では高温加熱が難しいため、限られた硬化条件でも接着力を発現させる必要がありました。せん断方向の強度は、シリコーンゴムの強度を改善することで高められます。一方、被着体から引き離す垂直方向の力に対しては、接着界面そのものを強くする必要があります。そこで、樹脂との相溶性に寄与する非シリコーン系有機化合物の添加量と、架橋剤の種類を検討しました。これらを調整することで、アルミニウム、PET、ポリカーボネートへの接着性と、低い硬化温度での性能発現との両立を目指しました。

 

特許文献を読むことが、製品への理解を深める
Q.技術者が特許に関わることには、どのような意味があると思いますか。

 毎月の特許検討会で、技術者自身が特許文献を読み込み、内容を理解することが重要だと考えています。特許文献を丁寧に読むと、競合他社がどのような技術課題に注目し、どのような考え方で製品や材料を設計しているのかを知ることができます。それは、特許への理解を深めるだけでなく、自社製品や担当製品について、より詳しく考える機会にもなります。他社特許を読む際には、自分の開発品が持つ課題と同じような課題を、他社はどう解決しているのかに着目していました。また、新しい特許だけではなく、既存技術が記載された比較的古いものも確認し、開発業務の参考としていました。当社では海外拠点から輸入している製品も多く、継続調査などで得られた情報を海外拠点の開発チームにも共有してきました、こうした活動は、知財リスクの低減や重複開発の防止にもつながっていると考えています。

過去の知見を次の発明へ

 今回の開発では、LSR研究で蓄積されたポリカーボネートへの接着に関する知見が、EVバッテリー向け放熱材料という新たな用途に活用されました。過去の研究で得た知識に加え、日頃から特許文献を読み、他社技術や自社製品への理解を深めることも、新たな課題を発見する手掛かりになります。技術者と知的財産部門が継続的に対話し、技術と特許の両面から製品を理解することが、次の開発と発明につながります。

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