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高重合メチルポリシロキサンエマルジョン BELSIL DM 3102 E

 

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イントロダクション

シリコーンは、優れた伸展性を持ちシルクのような感触を付与できるなど、その特徴的な性質から、ヘアケア、スキンケアをはじめとする化粧品の幅広い分野で使われている。
化粧品用シリコーンの中でも、ポリジメチルシロキサンを主骨格とするジメチコンは比較的安価で最も汎用性の高い原料である。特に重合度の高いジメチコンあるいはジメチコノールは感触改善効果が高く、ヘアケアの分野で広く使われるようになってきている。

しかし、高重合のジメチコン、ジメチコノールは、その高い特性付与効果にも関わらず、極めて高い粘度に起因するハンドリング性の悪さ、製造および洗浄プロセスの困難化により、化粧品開発者が実使用をためらうことも多い。

これらの高重合ジメチコン、ジメチコノールのハンドリング性を向上させる方法のひとつに、エマルジョン化がある。適当な界面活性剤を用いて、水を外相とするエマルジョンにすることで、これらシリコーン原料のハンドリング性を格段に向上させることができる。

しかし一般に、高重合のジメチコンまたはジメチコノールのエマルジョンは、長鎖アルキル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤を使用したものが主流であり、そのため、カチオン性界面活性剤など-ウェット時の感触改善などに使用-との併用が困難であった。
以上の問題を踏まえ、当社では、非イオン性のジメチコンエマルジョンHC 2410を開発し、広く紹介してきた。本品は、その他の原料のイオン性を阻害することなく処方に配合することが可能であり、ヘアケア製品などによる実使用時の性能が良好であることから、ユーザーからも高評価を得てきた。

今回、HC 2410により得られた知見を活かし、高重合ジメチコンのエマルジョンに対する市場からの多様なニーズに応えるべく開発し、適合範囲を広げたエマルションBELSIL DM 3102 Eを上市したので紹介する。

 

1. 新規非イオン性マクロエマルジョン BELSIL® DM 3102 E

BELSIL® DM 3102 Eは高重合のジメチコンを主原料とする非イオン性マクロエマルジョンである。
当社従来品HC 2410の優れた性能を維持しつつ、さらにPRTR非該当、かつ、パーマ剤承認基準別表3適合といった特徴を加えたエマルジョンである。これらの特徴は、本品の適合分野を広げ、高い汎用性を担保する。

 

表1. BELSIL® DM 3102 Eと各種適合規格一覧

  医薬部外品
原料規格
2006
染毛剤
承認基準
別表3
パーマ剤
承認基準
別表3
PRTR
非該当
/該当
BELSIL®
DM 3102 E
適合 適合 適合 非該当
HC 2410 適合 適合 該当

※「適合」は、該当する各規格に適合する原料で構成されていることを意味します。

 

また、BELSIL® DM 3102 Eは、大きな粒子径と低い粘度を並立させたエマルジョンである。一般に、大粒子径かつ低粘度のエマルジョンは、グラデーションや、クリーミングなどの不安定化が起こりやすいことが知られている。しかし、本品は、40ºC1ヶ月ならびに50ºC1週間の加速試験において、グラデーション、クリーミング、オイル浮きといった問題が起こらない。

一般に、エマルジョンを安定化させる方法として、増粘剤の添加があるが、増感触付与を阻害する要因としてしばしば敬遠される。本品では、こうした実情も踏まえ、増粘剤非添加で特に感触付与を重視したシンプルな処方を実現した。

 

 

 

2.感触評価(櫛通り試験)

櫛通り試験よりBELSIL® DM 3102 Eは、弊社従来品のHC 2410と比較して、同等あるいはより優れた櫛通り改善効果を示し、特にウェット時の感触改良に効果を発揮するとの知見を得た。

 
図1.櫛通り試験結果

図1に、BELSIL® DM 3102 Eを配合したシャンプー、並びにコンディショナーの感触評価(櫛通り試験)の結果を示す。
図中「ウェット」は洗浄後、「ドライ」は洗浄・乾燥後の毛髪より得られたデータを示す。
試験は、それぞれシャンプーおよびコンディショナーにシリコーン分が2%となるよう、エマルジョンを処方し、評価用毛束を作成して評価を実施した。
グラフのY軸は、櫛を通した時にかかる負荷の差分を示しており、数値のマイナス幅が大きいほど、櫛通り性が改善されていることを示す。
なお、0点には、未処理毛の測定結果を用い、比較として、弊社HC 2410による試験結果を示した。

 

 

 

3.エタノール水溶液中での安定性

BELSIL® DM 3102 Eの特筆すべき特長として、エタノール水溶液中での高い安定性が挙げられる。 ジメチコンエマルジョンの多くは、エタノール水溶液中では安定なミセル構造を保つことが困難であり、粒子が破壊されて油滴や油膜などを生じるが、BELSIL® DM 3102 Eは、エタノール水溶液中でも安定に存在できることがわかった (表2)。

 

表2. BELSIL® DM 3102 Eエタノール水溶液中での安定性試験

  室温
6ヶ月静置
40ºC
1ヶ月静置
50ºC
1ヶ月静置
BELSIL®
DM 3102 E
分離等なし 分離等なし 分離等なし
汎用ジメチコン
エマルション
1晩で、
油滴発生
1晩で、
油滴発生
1晩で、
油滴発生

試験条件: 25%エタノール水溶液に5%のエマルジョンを添加し、各温度条件で静置

 

以上の結果から、本品は、エタノールリッチな処方、例えば、ヘアケアでは、スタイリング剤、ヘアミスト、パーマ剤、染毛剤などや、スキンケア製品としては、スキンクリーム、入浴剤、シャワーローションなどにも、高い処方適合性を有していると言える。また、本品は、さらさら、さっぱりとした自然な感触付与が出来るため、ヘアケア、スキンケア製品などにおいて、幅広く推奨したい。
なお、本品はエタノールの濃度20%~40%の範囲の水溶液で特に安定性が良好である。
また、上記のアルコール濃度範囲外では、グラデーションが見られる。しかし、グラデーションが見られたアルコール濃度範囲においても、エマルジョンの破壊や分離を示す現象(油膜や油滴の発生)は見られない。このことから、グラデーションが起こっても、粒子自体は安定なミセル構造を保ち続けていると考えられる。
表3に、濃度の異なるエタノール水溶液に 5%、10%のBELSIL® DM 3102 Eを添加したサンプルの安定性評価結果を示す。

 

表3. 濃度の異なるエタノール水溶液中でのBELSIL DM 3102 Eの安定性評価

エタノール濃度 0% 5~20% 20~40% 40~50%
BELSIL
DM 3102 E 5%
グラデーション グラデーション 良好 グラデーション
BELSIL
DM 3102 E 10%
グラデーション グラデーション 良好 グラデーション

試験条件:室温、1ヶ月静置

 

おわりに

高重合のジメチコンをベースとした安定性の高い非イオン性エマルジョンBELSIL® DM 3102 Eを開発した。本品は、医薬部外品原料規格2006対応、かつ、別表3(パーマ剤、染毛剤)対応の原料で構成されており、PRTR非該当であることから、幅広い用途に使用することが可能である。
また、大粒子径にも関わらず安定性が高く、高重合ジメチコンに特徴的な毛髪への感触付与効果も良好であり、加えて、エタノール水溶液中でも高い安定性を示すことなど、ヘアケア・スキンケア製品をはじめとするパーソナルケア製品の様々な特性の向上が期待できる。

 

 

製品情報
製品名: BELSIL® DM 3102 E
基油の化粧品表示名称: ジメチコン
基油のINCI名: Dimethicone

 

 

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